トラブルのないマンションは16%だけ
|生活音・水漏れ・滞納と記録の大切さ
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過去1年間に「特にトラブルは発生していない」と答えた管理組合は16.0%。前回調査の23.2%から減りました。国土交通省の令和5年度マンション総合調査をもとに、多いトラブルの傾向と、対応の経緯を記録して引き継ぐことの大切さを整理します。
調査データ:8割超のマンションで何らかのトラブル
国土交通省の令和5年度マンション総合調査(2023年10月〜2024年1月実施、管理組合1,589件が回答)では、 過去1年間に発生したトラブルを尋ねています。 「特にトラブルは発生していない」と答えた管理組合は16.0%で、 平成30年度の23.2%から減りました。裏を返せば、8割を超えるマンションが何らかのトラブルを抱えています。
トラブルの種類別では、次の3つが上位でした。
- 居住者間の行為、マナーをめぐるもの:60.5%
- 建物の不具合に係るもの:31.7%
- 費用負担に係るもの:24.2%
具体的な内容で見ると、全管理組合のうち生活音のトラブルがあったのが43.6%、 水漏れが20.1%、管理費等の滞納が20.2%でした。 このほか、違法駐車(18.2%)、ペット飼育(14.2%)、共用廊下等への私物の放置(13.9%)、雨漏り(10.7%)なども目立ちます。 なお、単棟型と団地型を比べると、団地型のほうが各トラブルの発生率が高い傾向でした。
三大トラブルと初動対応
生活音:当事者同士で直接やり取りしない
生活音は、発生源の特定が難しく、受け止め方にも個人差が大きいトラブルです。 被害を感じた住人が直接相手に苦情を言うと、感情的な対立に発展しがちです。
- まずは管理会社や管理組合に相談し、窓口を一本化する
- いつ、どんな音が、どのくらい続いたかを記録してもらう
- 特定の住戸を名指しせず、掲示やお知らせで全体に注意を呼びかけるところから始める
水漏れ:原因の場所で負担が変わる
水漏れは、原因が専有部分にあるのか共用部分にあるのかで、修理の費用を誰が負担するかが変わります。 発生直後は被害の拡大を防ぐことが最優先ですが、あとで原因を確かめるための記録も欠かせません。
- 発生した日時、場所、被害の範囲を写真とともに残す
- 管理会社に連絡し、原因の調査と応急処置を依頼する
- 過去に同じ場所で発生していないかを確認する
3つ目が重要です。同じ系統の配管で水漏れが繰り返されているなら、個別の修理ではなく、 共用部分の計画的な更新を検討すべきサインかもしれません。
管理費等の滞納:早めに、決まった手順で
調査では、管理費や修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%でした。 完成年次が古いほどこの割合は高く、1974年以前に完成したマンションでは48.4%に達します。
滞納は、期間が長くなるほど回収が難しくなります。 督促の手順(いつ、誰が、どの方法で連絡するか)を管理規約や細則、管理委託契約で確認し、 担当者の判断に頼らず決まった手順で進めることが大切です。 法的な措置が必要になる場合は、弁護士などの専門家に相談します。
区分所有者向けの調査で、管理に不満がある理由を尋ねたところ、1位は「一部の居住者の協力が得られにくいので」(56.4%)でした。 トラブルそのものより、それが解決されないまま続くことが、住人の不満につながっていると考えられます。
なぜ「記録」がトラブル対応の要になるのか
トラブルへの対応は、多くの場合、管理会社と理事会が一緒に進めます。 調査でも、管理運営に疑問を持ったときの相談先は「マンション管理業者」が71.2%、「理事長(又は理事)」が45.4%でした。
ところが、理事会の役員は多くのマンションで1〜2年で交代します。 対応の経緯が前任者の記憶やメールの中にしか残っていないと、次の役員は一から状況を聞き直すことになります。 相談した住人から見れば、役員が替わるたびに話が振り出しに戻るように感じられます。
記録が残っていれば、次のようなことができます。
- 同じ種類のトラブルが繰り返されているかどうかが分かる
- 過去にどんな対応をして、どうなったかを踏まえて判断できる
- 相談した住人に、いまどこまで進んでいるかを示せる
- 水漏れや不具合の記録を、修繕計画の見直しの材料として使える
トラブルをゼロにすることはできません。 しかし、同じトラブルを繰り返さないことと、対応の途中で話を途切れさせないことは、記録によって実現できます。
マンション管理ポータルでできること
マンション管理ポータルのトラブル/クレーム報告機能では、住人がマンションに関わるトラブルやクレームを管理会社に連絡できます。 連絡した内容はスレッド形式で、進捗や対応状況を確認できます。
やり取りがシステム上に残るため、役員が交代しても経緯をたどれます。 住人にとっても、相談がどう扱われているかが見えることは安心につながります。 全体への注意喚起は、電子掲示板のお知らせで行えます。
まとめ
令和5年度の調査では、過去1年間にトラブルがなかった管理組合は16.0%にとどまりました。 生活音、水漏れ、滞納はとくに多いトラブルで、それぞれ初動の対応のしかたがあります。
共通して言えるのは、対応の経緯を記録し、理事会が交代しても引き継げるようにしておくことの大切さです。 記録は、目の前のトラブルを解決するためだけでなく、同じトラブルを繰り返さないための資産になります。
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国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」
本記事の数値は同調査の管理組合向け調査・区分所有者向け調査の結果に基づきます(トラブルの内容別の割合は、回答した全管理組合に対する割合です)。 初動対応に関する記述は一般的な考え方を整理したもので、個別の事案は管理会社や専門家にご相談ください。