役員のなり手不足と高齢化
|外部役員という選択肢と、理事の負担を減らす方法
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管理組合が将来に抱く不安の1位は「区分所有者の高齢化」で57.6%。外部役員の導入を検討する組合も3割を超えました。国土交通省の令和5年度マンション総合調査をもとに、外部の専門家に任せるという選択肢と、理事の負担そのものを軽くするという選択肢を整理します。
調査データ:住人の高齢化は確実に進んでいる
国土交通省の令和5年度マンション総合調査(2023年10月〜2024年1月実施)によると、 マンションの世帯主のうち70歳以上は25.9%でした。 平成30年度の22.2%から増え、20年前の平成15年度(10.2%)と比べると2倍以上です。 逆に、40歳代以下の割合は減り続けています。
完成年次別に見ると、傾向はさらにはっきりします。 1984年以前に完成したマンションでは、世帯主の55.9%が70歳以上です。 建物の高経年化と住人の高齢化は、同時に進んでいます。
管理組合自身もこの状況を課題と捉えています。 「管理組合運営における将来への不安」を尋ねた設問では、次の結果でした。
- 区分所有者の高齢化:57.6%
- 居住者の高齢化:46.1%
- 修繕積立金の不足:39.6%
外部役員を検討する管理組合は3割超
そこで選択肢として挙がるのが、区分所有者以外の専門家に役員や管理者を任せる方法です。 調査では、外部役員について「検討している」または「将来的に必要となれば検討したい」と答えた管理組合が34.6%ありました。 検討する理由は、「区分所有者の高齢化」(42.7%)と「役員のなり手不足」(42.3%)がほぼ並んでいます。
ただし、実際の導入はまだ多くありません。 管理者(多くの場合は理事長)が区分所有者以外の第三者になっているマンションは3.7%で、 92.1%は管理組合の代表者が管理者を務めています。 外部の専門家を活用しているマンションは41.4%ありますが、その活用方法の大半は 「単発のコンサルティング業務」(65.2%)や「顧問契約」(22.2%)で、 外部の専門家が理事長等に就任しているのは、活用しているマンションのうち5.6%にとどまります。
外部役員・第三者管理の特徴と注意点
外部の専門家(マンション管理士、管理会社など)が管理者や役員に就く方式には、はっきりしたメリットがあります。 役員の輪番が回らないマンションでも運営を続けられますし、専門知識が必要な判断を任せられます。
一方で、導入する前に確認しておきたい点もあります。
- 監督の仕組み:管理者に権限が集まるため、監事や区分所有者がその業務をチェックできる体制が必要です。
- 利益相反:たとえば管理会社が管理者を兼ねる場合、工事の発注先を自社や関連会社に決める場面で、区分所有者の利益と対立するおそれがあります。
- 費用:専門家への報酬が管理費に上乗せされます。
- 無関心の加速:任せきりになると、区分所有者が運営の状況を知る機会がさらに減ります。
国土交通省も、外部の専門家が管理者となる方式について、留意点をまとめたガイドラインを公表しています。 導入を検討する際は、管理規約の改正や契約内容の確認が必要になるため、専門家を交えて慎重に進めることをおすすめします。
もう一つの選択肢:理事の負担そのものを軽くする
外部役員は有力な選択肢ですが、すべてのマンションに必要なわけではありません。 なり手が見つからない理由が「負担が重そう」「何をすればいいか分からない」であれば、 役員の仕事そのものを軽くすることで解決できる部分もあります。
調査では、管理に不満があると答えた区分所有者の理由として、「管理組合役員が不慣れなので」が24.2%ありました。 多くのマンションで役員は1〜2年で交代します。毎年、不慣れな人が一から仕事を覚える構造が、負担感の大きな原因になっています。
負担を減らす3つの工夫
- 引き継ぎ資料を一か所にまとめる: 議事録、管理規約、契約書、過去の工事記録などが前任者の手元に散らばっていると、新任の役員は探すだけで疲れてしまいます。 保管場所を決め、誰が役員になっても同じ場所を見ればよい状態にします。
- 年間の予定を先に見せる: 総会、理事会、点検、大規模修繕の検討時期などを年間で見える化しておくと、 「いつ、何をするのか」が分かり、引き受ける側の心理的な負担が下がります。
- 管理会社との連絡を記録に残す: 口頭や個人のメールでのやり取りは、役員が替わると消えてしまいます。 誰が見ても経緯が追える形で残しておけば、次の役員は続きから始められます。
仕組みを入れても、使える人が限られていては意味がありません。 紙の資料を残す場面も含め、誰が役員になっても扱える方法を選ぶことが大切です。
マンション管理ポータルでできること
マンション管理ポータルの書類の共有機能では、マンションに関する書類をフォルダで整理して一元管理できます。 同じ名前のファイルを登録すると旧版が自動で残るため、規約や資料の改訂履歴もそのまま引き継げます。 登録した書類は管理会社と管理組合で共有されるので、役員が交代しても、新任の役員は同じ場所を見るだけで済みます。
このほか、行事予定を月間・年間で共有できるスケジュール機能や、住人へのお知らせを掲示する電子掲示板も備えています。
まとめ
住人の高齢化と役員のなり手不足は、多くのマンションに共通する課題になりつつあります。 外部役員や第三者管理は有力な選択肢で、検討する管理組合は3割を超えました。 ただし、監督の仕組みや利益相反への備えが欠かせません。
その前に検討したいのが、役員の仕事を軽くすることです。 資料と記録が一か所にまとまり、年間の予定が見えていれば、「自分にもできそうだ」と思える人は増えます。 外部に任せるか、自分たちで続けるか。どちらを選ぶにしても、情報が整理されていることが出発点になります。
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国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」
本記事の数値は同調査の管理組合向け調査・区分所有者向け調査の結果に基づきます。 外部役員の注意点や負担軽減の工夫に関する記述は一般的な考え方を整理したもので、個別の導入判断は専門家にご相談ください。