総会に本人が出席するのは4人に1人
|議決権行使書と委任状の上手な使い方

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委任状と議決権行使書を含めた総会の出席率は平均88.5%。ところが本人が出席している割合は24.6%にとどまります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査をもとに、書面による議決の仕組みと、住人の判断を総会に届けるための工夫を整理します。

調査データ:出席率88.5%の中身

国土交通省の令和5年度マンション総合調査(2023年10月〜2024年1月実施)では、 直近の通常総会への区分所有者の出席状況を尋ねています。

書類上はほとんどの区分所有者が総会に参加していますが、会場に来ているのは4人に1人ほどです。 この本人出席の割合は、総戸数の規模が大きくなるほど低くなり、単棟型の26.0%に対して、団地型では17.5%でした。

では、出席しない人はどちらの書面を使っているのでしょうか。 令和5年度調査で新しく加わった設問では、委任状の提出割合の平均が28.9%、議決権行使書が35.6%でした。 なお、総会は「年に1回開催している」管理組合が89.9%で、ほとんどのマンションにとって、年に一度の大切な意思決定の場です。

委任状と議決権行使書は何が違うのか

総会に出席できない区分所有者が議決に加わる方法は、主に2つあります。 どちらも「出席」として数えられますが、意味はかなり違います。

委任状:判断を他人に任せる

委任状は、自分の議決権の行使を代理人に任せる書面です。 代理人を指定せずに提出したり、「議長に一任」としたりするケースも多く見られます。 この場合、各議案に賛成か反対かを決めるのは代理人(多くは議長)です。

議決権行使書:自分で賛否を示す

議決権行使書は、議案ごとに賛成・反対を本人が記入して提出する書面です。 会場には行かなくても、自分の判断がそのまま票になります。

どちらを使えるかは管理規約で確認を
書面による議決権の行使や代理人の範囲は、各マンションの管理規約で定められています。 総会の招集通知に同封される書式も、規約に沿って用意されています。 まずは自分のマンションの規約を確認してください。

「白紙委任」が多いと何が起きるか

委任状そのものが悪いわけではありません。定足数を満たして総会を成立させるうえで、大切な役割を果たしています。 ただ、白紙に近い委任状が多い総会では、少数の出席者だけで実質的な結論が決まることになります。

修繕積立金の改定や大規模修繕の工事内容のように、全員の負担に関わる議案では、これが問題になりがちです。 あとになって「そんな話は聞いていない」「知らないうちに決まっていた」という不満が出るのは、 多くの場合、議案の中身が事前に十分届いていなかったことが原因です。

調査でも、住人の知識には偏りが見られます。 現在の管理規約を認知している区分所有者は84.8%と高い一方、 管理委託契約の内容を「知っている」区分所有者は29.8%にとどまりました。 マンション標準管理規約については、「全く知らない」が30.1%です。

住人の判断を総会に届けるための工夫

本人出席率を急に上げるのは簡単ではありません。 それよりも、出席しない人が、中身を理解したうえで議決権行使書を出せる状態をつくるほうが現実的です。

  1. 議案資料を早めに、読める形で届ける: 招集通知と一緒に届く分厚い資料だけでは、読み込む時間が足りません。 主要な議案については、要点と判断のポイントを1枚にまとめた資料を用意すると効果的です。
  2. 議決権行使書を基本の選択肢にする: 招集通知の案内で、欠席する場合は議決権行使書での参加を勧めるだけでも、自分で判断する人は増えます。
  3. 質問を事前に受け付ける: 総会当日に行けない人も、質問なら事前に出せます。回答を共有すれば、欠席者も同じ情報で判断できます。
  4. 結果と議事録を早めに共有する: 何が決まり、どんな意見が出たのかが分かれば、次の総会への関心にもつながります。

なお、マンション標準管理規約でも、ITを活用した総会の開催を想定した規定が整備されています。 オンラインでの参加を取り入れるかどうかは、住人の年齢層や設備の状況をふまえて、管理組合で検討するとよいでしょう。

マンション管理ポータルでできること

マンション管理ポータルの書類の共有機能を使えば、総会の議案資料や過去の議事録を、 住人がいつでも確認できる場所に置いておけます。 電子掲示板では、ログインしたときに最初に表示される画面で、総会の案内や資料公開のお知らせを住人に伝えられます。 総会の日程はスケジュール機能で共有できます。

紙の招集通知を置き換えるのではなく、紙だけでは届きにくかった「事前に読む時間」を住人に渡すための仕組みとして使えます。

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まとめ

総会の出席率は書面を含めれば9割近くありますが、本人が出席しているのは4人に1人です。 委任状は総会を成立させるために欠かせませんが、白紙に近い委任が多いと、少数の出席者だけで結論が決まってしまいます。

大切なのは、出席できない人も中身を理解したうえで自分の判断を示せることです。 議案資料を早めに届け、議決権行使書での参加を基本にするだけでも、総会の決定はより多くの住人の意思を反映したものになります。

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出典・参考
国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」
本記事の数値は同調査の管理組合向け調査・区分所有者向け調査の結果に基づきます。 委任状・議決権行使書の扱いは管理規約によって異なるため、詳細は各マンションの規約をご確認ください。

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